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親が偉い人

親が偉い人というのはどこの会社にもいる。

就職活動で、縁故は別扱いで入社させるような大企業もある。うちの会社もそういう企業の一つだといわれている。だから私の周りには親が同じ会社の人が結構いる。逆に三井物産などは親兄弟が同じ会社にいることを許さないため、採用の際に身内が同じ会社にいないかチェックされる(私が就職活動をしているときはチェックされた)。

縁故採用は2種類ある。会社にとって「価値のある」縁故採用と「価値の無い」縁故採用である。あくまで会社にとっての価値であり、人間的な価値とは一切関係ない。

「価値の無い」縁故入社は、親が偉いという立場を利用+親心というだけで行う採用である。たまたまその人たちが非常に有能な人であっても、それはその人たち個人の能力の問題だから縁故とは関係ない。つまり縁故である必然性が無いのに縁故で雇うのは「価値の無い」縁故採用だ。

逆に、例えば企業として大きな秘密を抱えており、身内が多いほうが秘密を守りやすいだとか、企業としてある政党や宗教を応援しているためそういうバックグラウンドをもった身内のほうが会社として一体感が醸成されるというのであれば、縁故である必然性があるので「価値のある」縁故採用だ。

ほかにも取引先の企業のお偉いさんの身内だとか、ほかの会社との縁故で採用するのも「価値のある」縁故採用であろう。広告会社にメーカーの社長の娘が就職すれば、そのメーカーはほかの会社に広告の作成を頼みにくくなる。縁故が価値を生んでいるのだ。

中国では、「何を知っているか」よりも「誰を知っているか」のほうが大切だといわれている。つまり人的なネットワークがビジネスの上で非常に大切だといういうことである。

上記を踏まえて、中国の究極に「価値のある」縁故採用はどのような採用を指すか。

それは親が政治家(しかもトップクラス)の人間を採用することである。これに成功すると、企業としては非常に企業活動がしやすくなるからだ。

中国の発展はものすごいスピードであるため、法整備がそれについていっていないのが現状である。

法整備を整えるように努力をしているものの、新しいビジネスに対して中国の法律はあいまいなものが多く、企業と当局(地方の役場なども含む)で解釈の違いをめぐって熾烈な争いが行われる。当局の機嫌を損ねたら企業活動に支障が出るので、企業は何とかそれを回避しながら自分たちの正当性を主張しないといけない。

そこで、政治家の息子や娘たちが役にたつ。彼らが当局と話をつけて、企業活動に支障が出ないように一役買ってくれるわけだ。

また、何かを申請するときなども当局が非常に早く受理してくれたりする。それに彼らがその企業に在籍していると知れば、当局が不必要な嫌がらせを企業に行うことも無い。

この企業にとって「価値のある」縁故を持った人たちを雇おうということで、巷ではそういう人たちの引き抜き合戦が行われている。彼らがその企業に在籍しているというだけで企業にとっては莫大な利益をもたらすからだ。

ドロドロしているようだが、まだまだこれが中国の現実である。一日中鼻くそをほじくっていたとしても、私よりはるかに多くの利益を会社にもたらす人たちが、存在するのである。がんばろう。
by dubian2.4 | 2004-10-20 01:54 | 上海生活や仕事
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