日経ネットの5月3日の記事によると、日本航空(JAL)が利益を下方修正し、最終的には162億円になるという。
この下方修正の主な原因は、繰り延べ税金資産の取り崩しである(繰り延べ税金資産の取り崩しについては下で説明します)。 繰り延べ税金資産の取り崩しで赤字が拡大というと、りそな銀行を思い出すが、まさか日航のような会社まで繰り延べ税金資産が問題で巨額の赤字を出すことになるとは驚きだった。だって銀行じゃないので不良債権処理とか、別にそんなにしていないイメージがあるので。 実に繰り延べ税金資産の金額は資産の7割に達していたというので、私はバランスシートは見ていないのだが数値だけ見ると会社は相当危険な状態じゃないかと思う。当然のことながらこの処理を受けて自己資本率は相当下がるものと思われる(債務超過も視野に入ってくるのではないだろうか。実際に見ていないのでなんともいえない)。 航空業界って、会社も少ないし(特に国内線)何でそんなに競争が熾烈になるのか。やはり問題は価格競争ということになるのだろう。。。 *ちなみに、繰り延べ税金資産というのは、たとえば会社が前期損失を出して、今期に利益を出しても税法的に「まあ、前期損出したから今期はそのぶん税金を納めるのを見逃してやるか」と認められるような数値です(または税法の指定を越えて費用計上したときに、納めすぎた税金が将来帰ってくると見込まれた数値です)。ようするに、未来に対して税金が控除される可能性のある金額です。未来に控除されることを前提に、会社としては自己資本として扱うことが多いので、これが崩れると自己資本が一気に減ってしまう場合があります。 未来に税金が控除されるには、未来に利益を出さなくてはならないので、監査機関が「この会社は未来にそんなに利益出さないやろ」と判断したら、繰り延べ税金資産は取り崩さなくてはならず、取り崩したぶんは費用になってしまいます。
by dubian2.4
| 2007-05-03 06:39
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