屋台の焼き芋屋がいつもマンションの前にいる。週末食べるものが無くて、焼き芋を買いに行っていたら、顔見知りになった。焼き芋は一つ1元(=15元)であり、一つ食べたら大体おなかいっぱいだ。芋が安い上にお腹一杯になりやすいので数をさばきにくい、ということもあって焼き芋屋は、羽振りが悪い。来ている服もぼろい。
焼き芋屋の隣には、串焼肉屋台が来ていて1本2元で売っている。串焼きはみんな2-3本は食べるのでこの屋台のお兄さんは羽振りがよい。いい帽子をかぶっている。そのほかにも屋台のぬいぐるみ屋や、パチモノCD屋、花屋、果物屋が来ている。 私は焼き芋屋に言った。「焼き芋屋は儲からないんではないですか。数もさばけないし、単価も安いし。縫いぐるみや、串肉売った方が儲かるのではないんですか。」と。 すると焼き芋屋は答えた。 「あんたあほかい!毎日雨が降って商売できなくなったり、警察に金取られたりしたら、一文無しになるだろ。そのとき、あんたは縫いぐるみ食うんか?串肉や果物食うんか?芋は栄養がいいから、毎日食っても体にいいんだ。いざとなったら商売道具の芋を食って生活できるから芋売っているんだ。商売道具は、自分を助けるもので無いといけない。」 サラリーマンをしていると、いろいろなことを学ぶが、一つだけどうしても学べないことがある。 それは「リスクをとる」ということである。 どんなに「濃い」サラリーマン生活をしても、これを経験するのは難しい。自分の家財を削って、借金をして、勝つか負けるかの商売をする、ということはサラリーマンではなかなか経験できないだろう。 私は、サラリーマンをしながらも、起業家を羨望のまなざしでよく見ている。自分のサラリーマン生活に不満があるわけではないのだが、自分で事業をして多くのお金を稼いでいる人を見ると「自分もこうなれたらなあ・・」と思ってしまう。 お金を多く稼いでいないにしても、自分でリスクをとってお金を稼いでいる人は、すごいと思う。その辺の焼き芋屋さんでも、自分でドラム缶を買って、芋を買って、大体今日何個ぐらい売れるか見積もって、売れそうな場所に行って、金を稼いでいるのである。 彼らにとって見れば、リスクをとるのが商売の基本であり、日常である。そうやって生きてきた人と、リスクの無い(または、非常にリスクの低い)生活をしてきたサラリーマンは、いい悪いは別として根本的に何か違うのではないかと思う。サラリーマンは仕事の失敗が直接自分の財産に影響を与えないのでバーチャル株をやっているようなものだ。 私は、どのような形にせよ、いつかは自分の仕事を持ちたい。そのために、リスクをとるということに関するカンのようなものを、鈍らないように意識しておかなくてはならない、と注意している。サラリーマンは、ほうっておけばリスクに関する感覚は絶対に鈍る。 ランキングでは、今大体17位前後です。
by dubian2.4
| 2004-11-03 02:37
| 上海生活や仕事
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